衝動に突き動かされて、ホットクックを買ってしまった。定価が6万円以上で、販売当初は「あんなに高いもの誰が買うんだろうね」なんて笑っていたのに。

どうしてそんな思いに襲われたのか覚えていないけれと、ある夜突然ホットクックが欲しくなった。値段を調べてみると、Amazonで買えば35,000円。買えなくはないような気がする。何より、定価からの値引率が大きい。

ネットでレビューを読むと「今年一番のいい買い物だった」とか「本当に買ってよかった!」とか好評価ばかり。美味しさもさることながら、とにかく便利なので生活が一変するという。朝材料を入れてタイマーをセットしておけば、帰宅時にはほかほかの料理ができている。会社勤めの人間にはこの上ない喜びだ。

「ホットクック 買った」でこれ以上検索結果が出ないところまでホットクックユーザのブログを読み込み、覚悟を決めた。
午前2時、ベッドの上で、息を止めて購入ボタンを押す。買ってしまった!

ベッドから跳ね起きてキッチンへ向かい、物の配置を替えてホットクック様の鎮座するスペースを確保した。後は待つだけだ。

翌日、早めに帰宅してホットクック様を待ち受けようと思ったがなかなか仕事が終わらない。

頭の中は「どうしても今日無水カレーを作りたい!食べたい!」という思いでいっぱい。なりふり構わず宅配業者に電話し、「もし宅配ロッカーに空きがなかったら21時頃再配達してもらえないですか?」とお願いするものの、「21時、などといった時間の指定はできません」と言われる。そうですよね。すみません。。

19時半ごろ会社を飛び出した。
走る!電車に飛び乗る!階段を駆け上がる!走る!
マンションの前に着くと、宅配業者のトラックが停車していた。
慌ててオートロックを開けてポストをのぞいたまさにその瞬間、外側から不在票が差し込まれる。
「宅配ロッカーに空きがないため持ち帰りました」にチェックがついていた。

裏口から飛び出すと、宅配業者さんが台車にホットクック様のダンボールを載せて歩き始めたところだった。
「すみません!それうちのですか!?」となりふり構わず追いかける。
「あ、さっき電話くれた方ですか?早く帰れたんですね」とにこやかな宅配業者さん。

奇跡的に間に合った。食い意地のなせる技である。
大きなダンボールをしっかりと抱きしめ、部屋に向かう。重さすら心地よい。

作るのは、ホットクックの代表的なレシピ、鶏肉の無水カレーだ。水を使わないから栄養を逃さず、旨味が凝縮されるという。
すでに家にある食材を使って、レシピを少しアレンジ。辛さが際立つカレーを目指してみる。

【材料】
カットトマト 1缶
玉ねぎ(札幌黄) 1個
ブロッコリー 約40g(1/2個ぐらい)
手羽中 160g(8本ぐらい)
すりおろしにんにく 1かけ
すりおろししょうが 1かけ
カレールー 4~5皿分
カイエンペッパー 2振り
ガラムマサラ 3振り

玉ねぎは前日に買った札幌伝統野菜の札幌黄。
水分が多く、甘みの強い玉ねぎだ。大きいので1個で充分。

玉ねぎと冷凍していたブロッコリーを、フードプロセッサーでみじん切りにする。キッチン家電のおかげで料理が捗る、捗る。

レシピに載っていた手羽元がスーパーになかったため、手羽中なる部位を初めて購入。

カレールーは、前に買った期間限定の激辛ジャワカレー。そこに、カイエンペッパーとガラムマサラを好みの分量だけ追加する。

材料をレシピの順に重ね入れたら、スイッチオン。一緒に、炊飯器でごはんも炊いておく。後は1時間待つだけだ。
掃除機をかけて、洗面台を磨き上げる。洗濯機を回しながら、ゆっくりシャワーを浴びる。

火をつけていたらなるべくキッチンに張り付いていないといけないので、ゆっくり他のことをする時間がない。ホットクック様のおかげで、帰宅後の自由時間がたっぷり増えて感動。

次第に部屋にカレーの匂いが広がり、食欲をそそる。幸せな夜だ。

スイッチを入れてから1時間後、無水カレーが完成した。

大量の具材が小さくとけている。
水を入れなくてもこんなにとろとろのカレーができるなんて不思議。

熱々のカレーに合わせて、きんきんに冷やしたメーカーズマークのハイボールを用意。いただきます。

一口食べて「これは……!」とにんまり。

目がさめるほど辛いのに、野菜の甘みもじんわりと口の中に広がる。
手羽中は、口に入れた瞬間ほろほろとほどける。
水分が少ないので野菜をたっぷり食べている実感があり、なんとも健康的だ。

カフェで食べるような旨味たっぷりのこのカレーを、一から自分で作るのはなかなか時間がかかりそう。
ホットクックを使ったら料理の腕が落ちてしまうかなあと買う前に少し悩んだけれど、平日帰宅後の自由時間が増えるのは本当に素晴らしい。手の込んだ料理は休日にすることにしよう。
カレー以外にも色々なレシピを試してみたい。

少しルーを残しておいて、翌日ひかるくんにも食べてもらった。
一言めは「すごい辛いね」だった。辛くしすぎたかな。

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