飲んだことのない日本酒を開栓する瞬間は、心がときめく。
そそぐ先は、グラスか真っ白なおちょこがいい。とろりと白く濁った日本酒、ほんのり黄色く色づいた日本酒、水のようにクリアな日本酒。そんな色の違いを眺めるのも日本酒ならではの楽しみの一つだ。
仕事帰りや休日に酒屋へ立ち寄って、日本酒が並べられた冷蔵庫を端から端まで物色するのも楽しいが、最近は定期的に日本酒を自宅へ送ってくれるサービスも登場している。
そのうちの一つ、saketakuさんから2本の日本酒が届いた。
「るみ子の酒」は、以前お店でいただいたことがある。米の旨味がどっしりと主張する味わいで、燗にして飲むと非常においしい。寒くなる季節にぴったりの日本酒だ。もう一本の日本酒「英(はなぶさ)」は、これまでに飲んだことがない。るみこの酒と同様、三重県にある森喜酒造場の日本酒だ。
まずは、英からいただいてみることにする。
日本酒のあてに、「超贅沢太巻き」を作る。昼に読んでいた「ラズウェル細木のラ寿司開店!!」という漫画に登場し、どうしても食べてみたくなってしまったのだ。
具はウニ、メバチマグロのたたき、イクラ、ブリだ。イクラは塩イクラ。ウニは生で売られているものが手に入らなかったので、火が入ったものを。ブリは刺身用のサクを大きめに切り分けた。大葉も数枚入れて爽やかさを加える。
砂糖、酢、塩で酢飯を作り、具をたっぷりと乗せて巻き簾でしっかり巻く。太巻きを潰してしまわないように切るのが難しい。いれすぎたウニが端からぽろぽろとこぼれてしまう。練習あるのみ。
saketakuさんからいただいた日本酒グラスに英をそそぐ。グラスは高さがあり口が少しすぼまっているので、華やかな香りを逃がさずに楽しむことができる。飲み口が薄く設計されているところも嬉しい。グラスの存在をあまり意識しなくなることで、日本酒の味わいがよりダイレクトに感じられる。
大きな口をあけて、太巻きを頬張る。ウニ、イクラ、トロ、ブリが混然一体となり、「超贅沢太巻き」の名に恥じない濃厚な味わいが口いっぱいに広がった。噛みしめるごとに、ウニの甘み、イクラのまろやかな塩気、トロとブリのジューシーな旨みがかわるがわる顔を覗かせる。
続いて英をいただく。驚くほどフルーティーで、ふんわりと華やかな余韻を残す。贅沢食材たちがやいやいと主張する太巻きに、そっと寄り添ってくれるような品のある日本酒だ。
新しい日本酒との出会いが良縁となった夜はご機嫌だ。まだまだたっぷりと中身の入った四合瓶を見てにんまり。次のあては何にしようかと考える時間もまた楽しい。