疲れた身体には、汁なし担々麺が効く。
辛さと痺れの奔流に身を任せ、酩酊したような浮遊感が身体を包み始める瞬間が心地よい。
心を無にして麺をすする。空になった丼を見下ろした時の爽快さといったら!

日曜、大勢の人が行き交う銀座の歩行者天国。一本隣の細道に入ったところに「175°DENO担担麺 GINZa」はある。汁なし担々麺と言えば広島県を連想するが、175°DENO担担麺は北海道札幌市発の担々麺店だ。2018年2月21日現在、北海道に4店舗、新潟県に1店舗、東京に1店舗存在する。2/25には新宿にもオープンするとのことで、個人的にはアクセスしやすくなり非常に嬉しい。

地下へ降りて扉を開く。食券機の隣までやって来たお店の方に「初めてですか?」と聞かれたので、そうです、と答えると「汁なし担担麺 シビれる」をおすすめしてくださった。

せっかくのおすすめではあるが、押すボタンはもう決めている。「汁なし担担麺 すごくシビれる」一択だ。お値段は900円。70円の辛さ増し券も購入する。さらに「小ごはん」100円も追加。
麺は150gと200gから選べるとのこと。せっかくなので200gにしておく。

メニューの中では、花椒三種盛も気になった。どんな風に提供されるのだろうか。これは次回トライしてみることにする。

店内はテーブル席も多く、のびのびできる。家族連れでも気兼ねなく足を運べそうだ。ひかるちんと2人で行ったので、2人がけのテーブルに案内していただいた。

ビールを飲むかとても迷ったが、最後まで美味しく食べるためにぐっと我慢。汁なし担々麺は使われるラー油の量が多く、見た目以上にガツンとおなかにくる。そのため、ビールを飲むと余計におなかが膨れ、最後の方はパンパンのおなかを抱えてひいひい言いながら食べることになりがちなのだ。
後ろ髪引かれる気持ちではあるが、今日は汁なし担々麺のみに全力を注ぐぞ、と意志を固める。

真っ赤なスープの中に、どっしりと鎮座する太麺と炒醤肉。てっぺんには山椒粉がたっぷり乗っていて、花椒好きの心をがくがくと揺さぶる。

ずっしりと重さのある麺を箸で持ち上げ、しっかり混ぜていく。炒醤肉をほぐし、自家製ラー油をたっぷりとまとわせる。四川花椒の爽やかな香りが鼻に届く。期待が高まる瞬間だ。

一口。
頭を揺すられるような痺れ。口中が一瞬のうちに麻痺する。「すごくシビれる」の名に恥じない、強烈なビリビリ感だ。
辛さは、増してもそれほど激辛にはならない。ごまだれの甘さの方が際立っている印象だ。押し寄せるのは、とにかく痺れ、痺れ、痺れ。箸を持つ手がわずかに震える。

ライスは辛さの中和に一役買うが、痺れの中和はできないということをこの時知った。
浮遊感。心を自ら無にしているのではなく、無にならざるを得ない。ただひたすら、少しずつ少しずつ減っていく目の前の麺だけを見る。非常にボリュームがあり、なかなか底が現れない。

気づけば、ひかるちんの丼はもう空だ。物欲しそうに私の麺を見つめている。しかし、渡すわけにはいかない。最後の一口まで味わい尽くしたい。

もちもちの麺に炒醤肉をしっかりと絡めて完食。最後にライスを丼に投入し、ラー油をしっかり吸わせて美味しくいただく。この〆も汁なし担々麺の醍醐味だ。

食べ終わって外に出た時の爽快感といったら格別だ。コートを揺らす冬の冷たい風が、涼しく心地よい。日頃蓄積されていたもやもやもすべて吹き飛んで、また新しい気持ちで月曜日を迎えられそうな気がする。

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