夏の終わりに五島へ行った。新鮮なお刺身も五島牛もおいしかったが、何よりも気に入ったのは五島うどんだった。五島の名産でもある椿油を塗って作られた麺は、つるつるとなめらかな口当たりが心地よい。太さは1.5~2ミリほどで、弾力があるので食べごたえも充分だ。

自分用のおみやげに買ってきたのは正解だった。あごだしでシンプルにいただくのもいいけれど、五島高校に通う男の子曰く、パスタソースにも合うとのこと。2時間じっくり煮込んだミートソースをかけてみたところ、思っていた以上にソースがよく絡み、おいしかった。家で色々な食べ方を試してみるのは面白い。

茹でたての温かい状態でもおいしいが(五島では茹で上がった麺をそのまま鍋から食べる地獄炊きが有名)、私は冷水でしっかりしめてコシを出す方が好みだ。そこで、冷え冷えの五島うどんを爽やかにいただくレシピを一つ考えてみた。

五島うどんと共演するのは、ベトナムのラー油「サテトム」。うまみたっぷりの干しエビがぎゅぎゅっと入った、レモングラスの香りがエキゾチックな調味料だ。カルディで見かけて衝動買いしたものの、どう使うか悩んでいたのでちょうどいい。

【材料】(1人分)
・五島うどん 100g
・豚こま切れ肉 60g
・トマト 1個
・パクチー 1束
・酢 大さじ 1/2
・ごま油 大さじ1/2
・塩 一つまみ
・胡椒 少々
・クミンパウダー 小さじ1/2 (あると異国情緒が増すけれど、なければないで問題なし)
・めんつゆ 小さじ1 (私は五島のあごだしつゆ4倍希釈用を希釈なしで使用)
・ナンプラー 小さじ1
・サテトム 小さじ2 (この量は辛いもの好きさん向け。最初はちょっとなめてみた後に小さじ1/2からなど様子をみつつがよい)

一番最初に、トマトを角切りにしてからボウルに入れ、酢とあえておく。

続いては豚肉。ごま油で炒めながら、塩、胡椒、クミンパウダーをまんべんなく順にふりかける。お肉に火がとおり、クミンパウダーが全体になじんだらそのまま冷ましておく。お肉には味をしっかりめにつけておいた方がおいしい。

たっぷりのお湯を沸かし、五島うどんを入れて7分茹でる。茹で上がったらざるにあげて、冷水でしっかり冷やす。料理の味が薄まらないように、水切りは丹念に。

麺を器に入れ、めんつゆとナンプラーをかける。器の底から箸で麺を何度もひっくり返し、全体に味をなじませる。

ボウルに入れていたトマトを、酢ごと麺にかける。上に、冷ましておいたお肉を乗せ、さらにサテトムを回しかける。容器の下の方に沈んでいる干しエビも、ざくっとすくってかけるのがいい。

最後に、細かくに刻んだパクチーをわさっと乗せれば、汁なしエスニック五島うどんの完成だ。よく混ぜながらすすると、酸味や辛味、塩気が混然一体となって口の中に広がる。よく冷えた五島うどんは、こってりした豚肉と相性がいい。クミンやパクチーの香りとサテトムやナンプラーのうまみが、異国の風をそっと運んでくるような、そんな麺料理になった。

真っ白でやわらかな砂浜と、きらきらと陽の光を跳ね返すどこまでも澄んだ遠浅の海。紫色の夕焼け空の下、並ぶヤシの木のシルエット。エキゾチックな美しさのある五島の風景を、ふと思い出した。

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