とても疲れて泣きたいような日に、一杯飲んで帰りたかったけれど一人で飲む気にもなれなくて、代わりにラーメンを一杯食べて帰った。
田ぶしは家から近いので何度か行っているのだけれど、ちょうど期間限定で台湾まぜそばを出しているという情報を目にしたので、久しぶりに足を向けてみた。ずっと気になっていながらも、まだ台湾まぜそばなる麺を一度も食べたことがないのだ。田ぶしが出しているのならきっと美味しいだろうなあ。
お店に着いたのは0:30頃。閉店が1:00なのでぎりぎりだった。店内は飲み会後と思しき若者達で賑わっていた。私も若者だけど。一人でいることが余計に悲しく思える。
食券機で台湾まぜそばを探すと、なんと、売り切れ。しばし呆然とする。こんな時間だからしょうがないか。別のお店に行こうか迷ったが、一度入ってしまったのでここに腰を落ち着けることにする。せっかくなので、これまで食べたことのなかった熟成醤油らーめんを選んでみた。
丁寧に作っているからだろうか。田ぶしは結構待ち時間が長い気がする。ぽけーっと待っていると、しばらくしてラーメンが運ばれてきた。背脂がたっぷりと浮いたスープ。醤油ラーメンでありながらも色は薄め。一口スープをいただくと、背脂の甘みがふわっと広がった。一瞬、泣くかと思った。これほどの甘さとは想像していなかったので、弱った心身にとっては不意打ちだったのだ。
麺の香りをいっぱいに吸い込む。固めに茹でられていて、存在感がある。勢いよくすすっては歯ごたえを楽しんだ。チャーシューはほろほろとやわらかい。
れんげの上に一口分の麺を乗せ、その上に濃い色の豆板醤を乗せ、スープにたっぷり浸した海苔でくるりと巻く。味が幾重にも重なって、贅沢。
本家田ぶしらーめんとは異なる味わいながらも、香りが高いところはどちらのラーメンにも共通している。最後まで美味しくいただいた。
さっきまで寂しくてしょうがなかったのに、こうしてラーメンの一口一口に向き合っていると、なんだか一人でもいいなあって思える。一杯のお酒じゃなくて、一杯のラーメンにしてよかった。深夜の背脂って元気が出るなあ。台湾まぜそばはリベンジしないと。