生活圏内に家系ラーメンがあるとほっとする。それが好みの味なら尚更である。
席数の多い店内だけれども、昼時は大勢のサラリーマンで満席寸前だった。慌てて滑りこむ。もうお腹が、いや、身体中が、久しぶりの家系ラーメンを迎える体勢を整えていた。
半ラーメンと小ライスの食券を渡し、「かため、こいめ」をお願いしてからカウンター席でラーメンを待っていると、「女性のお客様にはこちらをお出ししています」と店員さんから野菜ジュースをいただいた。食前に野菜ジュースを飲むことで、食後の血糖値の上昇が抑えられると言われている。気休め程度かもしれないけれど、ラーメンとライスの組み合わせに少々背徳感を抱えている身にとっては、嬉しい心遣いである。
八七三家の麺は、太くてもちもちしていた。家系はやはり、こういったボリュームのある麺をすするのが醍醐味だと思っている。濃くて、多くて、安くて、お腹にたまる。卓上の生姜をどっさりと使って、少しでも健康さを加えようと足掻くのも含めて、家系の楽しさである。
スープはクリーミーすぎず、醤油が効いている。最近、まろっとした味のラーメンを出す家系が増えている気がするが、私は醤油の辛さがキンキンと舌を刺す家系の方が好きだ。あぶらの量は普通でオーダーしているけれども、それでも器はあぶらで満ちている。
くったくたになったほうれん草は、しっかりとスープの味を吸っていて美味しい。海苔はぱりっと固くて、スープに浸すのがなんだかもったいないような気になった。それでも、えいやっとお箸で沈めると、面白いぐらいふよふよと溶ける。これほど柔らかくなる海苔は珍しく、なんだか不思議である。チャーシューは味が濃くて、ラーメンのジャンクさを増すのに一役買っている。
半ラーメンは確かに少なめだったけれども、小ライスが想像より多かったので良いバランスだった。ほっこりとおなかが満たされる。これからもたまに足を運んで、元気をもらいたい。