GoogleのAIモデル「Gemini 3」が発表されてから、1週間近くが経った。

性能が大幅に上がったというので、これまでChatGPT派だった私も、頻繁にGeminiアプリを開くようになった。ChatGPTとGeminiの両方に同じ質問を投げかければ、多角的な回答が得られるのでいい。

Gemini 3について調べていたら、同時に発表された「Google Antigravity」がどうやらすごいらしい、という情報に行き当たった。

Google AntigravityはAIエージェント主導の開発プラットフォーム。チャット画面から簡単な指示を入力するだけで、ハイクオリティなWebサイトやアプリをAIが作ってくれるという。仕様書を書き、テストまでしてくれるというから驚きだ。

早速、自分でも触ってみることにした。せっかくなら、もふが楽しめるものを作ってみたい。タブレットで遊べるミニゲームはどうだろうか。0歳時にタブレットは早いかもしれないが、数分程度ならいいだろう。


生成開始

もふは最近、松永悠一郎さんの絵本『きってみよう』が気に入っている。大きなメロンが出てくるページで、メロンの絵をバシバシと叩きながら笑う。黄緑のメロンが次のページでパカッと割れ、オレンジの果肉が現れると大興奮。

そこから着想を得て、「カラフルな円をタップすると、円が分裂して2つになる」というシンプルなミニゲームを作ることにした。

Google AntigravityをPCにインストールし、チャット画面に次の指示を入れる。

iPad上で動作する、0歳児向けのブラウザゲームを作りたい。

遊び方
・1個の円(直径10cmほど)がゆっくりと画面上を浮遊している
・円をタップすると、分裂し、円のサイズは少し小さくなる
・タップを繰り返し、円が5個になったらクリア

挙動
・タップした時に、かわいらしいエフェクトが出る
・クリアした時に、賑やかなエフェクトが出る

デザイン
・円は、赤ちゃんの目を引く原色
・タップすると色が変わっていく

自分がもしエンジニアだったら、突き返したくなるほどゆるふわな要望だ。ゆっくりとは? 少し小さくなるとは? かわいらしい、賑やかとは? 突っ込みどころ満載だが、相手はAIなのでよしなに検討してもらえるだろう。

5分も経たずに、ゲームをブラウザ上で操作できる状態になった。

イメージ通りのゲームが、あっという間にできてしまった。最初の細かな仕様検討はAI任せにし、動くものを触りながら修正していけるのは、手軽でありがたい。続いては、次のような依頼をした。

円の色の彩度・明度を、最初の円の赤に合わせてほしい。
色相だけ変えて、青、黄、緑などを使いたい。

円のサイズ変化はもっとわかりやすくしたい。(最初の円をもっと大きくし、サイズダウンもわかりやすく)

最後のメッセージは、文字は出さずに、画面全体にもっと派手なエフェクトを!

通常の開発現場ではあり得ない、「もっと」の繰り返し! もちろん、相手がAIだとしても具体的に伝えた方がアウトプットの精度は上がるだろうけど、0歳児向けのミニゲームなのでとにかくよしなに作ってもらいたい。

修正版を確認したところ、円の色がまだしっくり来なかったので、もふも大好きなネフ社の積み木「ネフスピール」に似た色合いでカラーコードを指定することにした。

ChatGPTに、

原色だけを使ったゲームをAIに作ってもらいたくて、カラーコードを定義したいんだけど
いわゆる赤、青、黄、緑、オレンジがいいな
ネフスピールっぽい

という雑なオーダーをし、出された以下のコードをGoogle Antigravityに伝える。

Use only the following colors:
Deep Red #C62828
Deep Blue #1565C0
Deep Yellow #F9A825
Deep Green #2E7D32
Deep Orange #EF6C00

反映された色味は、まさにネフスピールだ。


Web公開

iPadで遊ぶためには、一度Webに公開する必要がある。ChatGPTが以下のように勧めてくれた「Netlify」を使用して公開することにした。

① Netlify(超おすすめ・数秒で公開)
手順:
1. https://app.netlify.com/にログイン(GoogleでOK)
2. 「Add new site」→「Deploy manually」
3. ゲームのフォルダ(index.html が入っているフォルダ)を ドラッグ&ドロップ
→ 即、公開URLが発行される
→ iPad の Safari でアクセスして遊べる
→ PWA(ホーム画面追加)もほぼ自動で動く

ゲームのフォルダをうまく見つけることができなかったので、Google Antigravityに、「デプロイしたいから、プロジェクトフォルダをデスクトップに置いて」とお願いした。

置いてもらったフォルダをドラッグ&ドロップするだけで、すぐにWeb公開ができた。便利……


遊んでもらう

ミニゲームを開き、iPadをもふの前に置いてみた。早速、浮遊する円を楽しそうに叩き始めるもふ。

ただ、5本指で画面を叩くので、タップ判定が重なってしまい、想定していた挙動にならない。自分でテストしたときは人差し指を使っていたけれど、そういえば、もふはまだ「人差し指で指す」ということができないのだった。ユーザーテストは大事だ。

また、「手で円を追いかける」という要素も加えたいと思い、以下を最後の修正依頼とした。

以下を修正お願いしたい。

・0歳児にユーザーテストをしたところ、5本指で同時にタップしてしまうため、「circleが段階的にsplitする」という挙動にならない。「タップから0.5秒以内のタップはすべて無視する」といったように、5本指で触っても1回ずつsplitしていくような仕様を入れたい

・Circleが動く速度を3倍早くしたい

あまり練れていない依頼だったけれど、しっかりと意図を組んでくれて、イメージ通りの修正ができた。


Google Antigravityでのミニゲームづくりは、想像以上に簡単だった。もちろん、より複雑なアウトプットをしたい場合や、仕様が詳細まで固まっている場合は、思い通りにいかないこともあるだろうけれど。

子どものニーズに合わせて、手作りおもちゃと同じような感覚で、親がゲームやデジタル教材をハンドメイドできる時代が来た、と感じる。慣れてくれば、毎日新しいものを作ってあげることもできそうだ。

また、Google Antigravityは、子ども自身が想像力を広げてものづくりをするための協力なツールにもなる。大人が思いつきもしないコンテンツが、これから次々と生み出されるに違いない。

もふは、一体どんなものを作るのか。今から楽しみだ。

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