もふが産まれるまで、「混合」というのは、母乳と粉ミルクを状況に応じて切り替えられる便利な授乳方法だと思っていた。たとえば、日中は母乳で夜間は粉ミルクにするとか。誰かに預けるときだけ粉ミルクにするとか。同じように思っていた人、多いんじゃないかな。
だから、母乳をあげた直後に、足りない分を粉ミルクで補完するというのが基本的な混合栄養なのだ、と知ったときは驚いた。母乳と粉ミルクのいいとこ取りができるわけではなかったのだ。むしろ、手間が2倍になっている!
現在、生後3ヶ月のもふを混合栄養で育てている私だけど、そもそもは完全母乳で育てたいなと考えていた。と言っても、強い意思があったわけではない。「母乳にはいろいろなメリットがある」という説明をネットで見かけて、それなら母乳だけで育ててみようかな、と思った程度だ。
もちろん、十分に母乳が出るのか、出たとしても問題なく飲ませられるのかは、子どもが産まれてみないとわからないことだ。ただ、出産予定の産院は母乳育児を推奨しており、入院中も母児同室とのことだったので、トライする環境としてはよさそうだった。もしかしたら、粉ミルクの味を一切知らない子に育てられるかもしれない!(それがいいことだと信じ込んでいた過去の私)
そして迎えた産後0日目。新生児室から、すやすやと眠るもふが運ばれてくる。「ミルクは5ミリ飲みましたよ」と助産師さん。えええ! すでに粉ミルクの味を覚えてしまっている!!
頑なに目を閉じて眠り続けようとするもふの口に乳頭を突っ込み、なんとか母乳を吸わせようとするけれど、そもそも出ている気配がない。「じゃあ、これを飲ませてくださいね」と助産師さんが哺乳瓶に入ったミルクを持ってくる。母乳育児推奨の産院って、粉ミルク禁止でひたすら乳を吸わせるスパルタな場所だと思っていたぜ。違いました。
3日ほど経った頃、急に乳房が熱を持って固くなり、母乳が延々と垂れ始めた。ノーブラだったので母乳パッドも付けられず、パジャマはびちゃびちゃ。ただ、量は十分ではなく、結局毎回ミルクを足して退院の日を迎えたのだった。
もふは、体重が成長曲線の下限ぎりぎりで推移している子で、完母にするどころか、退院後も健診で「もっとミルクを飲ませた方がいい」と言われ続けてきた。そのため、いまだに混合での授乳を続けている。
模索しながらも、生後2ヶ月頃から我が家の混合スタイルが決まってきた。母乳をあげるのは1日7回前後。大体3時間ごとの授乳だが、夜は長く寝るので1回分スキップしている。7回のうち、およそ4回は粉ミルクを足す。最初は40mlだったが、成長に合わせて今は60ml飲ませている。
毎回粉ミルクを追加してもいいのだけど、吐き戻しやすい沐浴前や、夜ごはんの準備でバタバタしている夕方などはスキップすることにしたところ、大体4回に落ち着いたのだった。毎朝、大人用の体重計でもふの体重を計っていて(夫がもふを抱っこしたときの体重から、夫の体重を引く)、一定のペースで増えているため、この頻度と量での授乳を続けている。
混合で授乳をしていく場合、どのぐらいミルクを足せばいいのかという悩みに直面しがちだと思う。私の場合は、成長曲線と同じような角度で体重が増えていれば大丈夫だろうと割り切って、ある意味適当に量を決めている。
なお、長時間の外出で、授乳室が見つからないとき(もしくは授乳の時間を長く取りにくいとき)は、「ほほえみ」の液体ミルクを120ml飲ませ、母乳はスキップしている。そうそう、これが元々想像していた“便利な混合”なんです。ただ、最近は6時間ほど母乳を飲ませずにいると白斑ができて詰まってしまうことが多いから、気を抜けない。
おそらく、もう完母にするという選択肢はないだろうな、と思う。心地よく生活していくには授乳回数は今のままがしっくり来るし、そうすると分泌量が減ることはあっても増えることはもうないはずだ。
完ミにすることは可能かもしれない。そうすれば、毎週のように悩まされている白斑ともおさらばできるし、ワンピースを着て出かけられるし、食事に合わせてまたワインが飲める。授乳の時間はぐっと短縮できて、手間も減る。外出先で必死に授乳室を探さなくてもいい。
ただ、母乳を飲むもふの横顔を眺めていると、このままでいっか、という気持ちになる。メリットとかデメリットとか、そういうのはもはやどうでもよくて。量はそれほど多くなくても、運よく母乳が出て、それをもふが今このときも求めてくれているのだから、たぶんこのままでいいんだろう。
夏の到来とともに、いよいよ離乳食が始まる。多少手間がかかるこの授乳の日々も、いずれは終わっていくのだから。最後まで楽しもうね、もふ。