麺が好きだ。お米が好きだ。
なのでどうしても、パンの優先順位が下がってしまう。
たとえ、この先一生パンが食べられない状況になったとしても、特に困らないだろう。
ハンバーガーのバンズとアヒージョに浸すバケットは別だけど。
そんな風に思っていた。

9月の3連休、友人たちとNew Acoustic Campへ行った。各自でテントを張ってキャンプを楽しめるフェスだ。あいにくの悪天候で、雨を避けるためにほとんどの時間をタープの下で過ごすことになったけれど、時間が緩やかに流れるいいキャンプだった。

友人の一人が、朝食にホットサンドを作ってくれた。
具は、「え、それだけでいいの?」と思うぐらいシンプルで、薄切りにしたトマトととろけるスライスチーズのみ。
8枚切りの食パンの内側に、オリーブオイルを少々かける。食パンにとろけるチーズを置いて、その上に甘くて大きなトマトのスライスを並べる。
具を2枚の食パンで挟んだら、ホットサンドクッカーをぴったり閉じて、ガスコンロの火にかける。
「本当は炭火でできたらよかったんだけど・・・」と残念そうな友人。火を起こす気も起きないぐらいの、ざあ降りだったのだ。

焼き時間は特にはかったりしないらしい。コールマンのホットサンドクッカーを何度も反転させ、時折開いて焼き目の具合を見る。感覚を頼りに、いい頃合いで火を止める。

熱々のまま半分に切り、すかさず頬張る。
きつね色になったパンの外側が、さくさくと小気味いい音を立てる。
とろりと熟れたトマトに、チーズが絡みつく。
食パンの内側はもっちりと柔らかい。なんと楽しい食感なのだろう。
具に塩など振らなくてよいのだろうかと心配していたけれど、まったくの杞憂だった。
トマトやチーズそのものの甘さ、そして食パンの甘さにほっと癒される。

キャンプ最終日は、どれだけ余りの食材を減らせるかという勝負の日でもある。
オリーブオイルの代わりにごま油とお醤油をかけた食パンで、とろけるチーズとキムチを挟んでみたり。
オリーブオイルと塩だけでしんなりと味をつけた焼き茄子の余りも、お皿の上で少し冷めていたので挟んでみたり。

ホットサンド、という響きはこれまで私にとって決して魅力的なものではなかった。
子供の頃、休日の朝食に時折出されたホットサンドの具は、ハムやプロセスチーズ、バナナなど。
好きになれなかったのは、その頃とても苦手だったプロセスチーズが入っていたからか。
齢26歳にして、ようやくホットサンドを愛おしく思えるようになった。

早速自分でもホットサンドクッカーを購入した。色々とネットで調べた結果、大好きなCHUMSのものに決定。
焼き上がりの評判もよいし、上下を分離できるので洗いやすく、何より大きく型どられたブービーバードがかわいい。

買ったばかりのホットサンドクッカーを使って、自宅で休日の朝食を作った。日が経って少し水分が飛んだカレーと、とろけるチーズを挟んでみた。
余りものを、なんでもかんでも挟めるのがホットサンドの醍醐味だと思う。

先日、朝霧JAMなるフェスに行った際にもホットサンドクッカーを持っていき、ふもとっぱらキャンプ場で朝からホットサンドを作った。
具は友人が作ってくれたものと同じ、トマトととろけるチーズ。シンプルだけれど美味しくて、すっかり気に入ってしまった。
少し肌寒い朝に、ホットサンドはぴったりだ。

だんだんと、美味しく仕上げるコツを掴めてきた気がする。
食パンは6枚切りのものがなかなかいい。特にチャムスのホットサンドクッカーを使う時は、8枚切りよりも端が上手く閉じやすい。たまたまスーパーで8枚切りの食パンが売り切れていたため6枚切りで作ることになったが、嬉しい偶然だった。
とろけるチーズは必ず2枚使う。1枚だととろとろ具合に欠ける。2枚使うと、ホットサンドを半分にわけた時に切り口からとろりとチーズが溢れ出して、見た目にも美味しそう。3枚、4枚は試していないけれどカロリーが少し気になる。

家でも野外でも、かわいいかわいいCHUMSのホットサンドクッカーをたくさん活用したいなあと思う。
電気で作れるものも手軽でよさそうだけれど、クッカーを裏返しながら火でじっくり熱を入れていく静かな時間が好き。
次は、マーマレードとクリームチーズで、濃いコーヒーに合いそうなホットサンドを作ろうと目論見中。

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