先日、国道246号沿いを歩いていたらとあるお店に長蛇の列ができていて、何事かと思ってよくよく見ると和正に並んでいるのだった。三軒茶屋の美味しいラーメン屋さんと言えば和正だと以前から聞いていたけれども、臨時休業中という噂があったためまだ訪れたことがなかった。もしかしたらこれまでも普通に営業していたのかしら。私も行列に加わりたい、という衝動に駆られたけれども、その日は時間がなかったので泣く泣く通りすぎた。

それからしばらく経って、ひかるくんとはしご酒をしてしこたま飲んだ夜、マンションの前まで帰って来たけれど「やっぱりラーメン食べに行く?」というお馴染みの展開になった。アルコールに満ち満ちた頭ではカロリー計算も上手くできないのである。

油坊主を目指して246号沿いを歩いていたのだけれど、手前の和正が営業していることに気づいてしまったのでもう入店せざるを得なくなった。秘境探検隊のごとく胸を高鳴らせながら足を踏み入れ、席があくのをしばらく待った。あたたかい店内で、じっと座っている時間すら愛おしい。

席について、中華麺にしようかつけ麺にしようかとしばらく悩んだのち、中華麺と味玉を注文した。スープを飲んで、ほっと暖まりたい。二月の夜気は身体を芯まで冷やしてしまう。

スープは醤油が濃くきいており、深いコクがある。弾力たっぷりの平べったい麺が、スープをしっかりと絡め取って舌先へと運んでくれる。一口いただくごとに感じる、豊かな魚介の風味。高まっていた期待に応えてくれるばかりか、期待値をぐんと超えて美味しいと思えるスープに、顔をほころばせてしまう。

大きなチャーシューは香ばしく、口の中でとろとろと溶けた。お酒のまわった身体が、こってりとした脂身を歓喜しながら迎える。なぜか勝手にあっさり上品なラーメンを想像していたが、そうではなかった。あぶらの濃厚さをまとい、ボリューミーな食べごたえの一杯である。私にとっては良い方向に想像が裏切られて嬉しい。

美しい色をした半熟の味玉でスープをすくい、口に運ぶと、黄身の味わいがスープと混ざり合いながら舌の上でとろりと広がる。この瞬間が大好きで、いつも食事の終盤まで味玉には手を付けないでおいている。

ひかるくんにもらったつけ麺も濃厚な魚介の風味が素晴らしかったけれど、どちらかを選ぶとしたら中華麺の方が好みかな。両方とも、ビールに合いそうなしっかりしたお味。はしご酒の〆にはぴったりだった。

「寒い中、きていただいてありがとうございます」と、接客もあたたかい。人気の理由が端々からわかる、素敵なお店だった。

めん 和正ラーメン / 三軒茶屋駅西太子堂駅池尻大橋駅

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